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月光夢想-3-白薔薇の姫




※連載SSの第二部3話目になります。



過去編が…長いです…。
ストーリーが進んでいるようであまり進んでいません。




続き、白魔型考案者の東雲様のお宅より数名お借りしています。











































「どうぞ、座って」

誘導されたのは、所謂応接間で。
人間用にとカップが2つ、神姫用にと小さいカップが1つ。
その中に、人間用にと爽やかなレモンティー。
神姫用にと同じく爽やかな風味のレモンティーの…ヂェリー。
それらを用意しながら目線をそこから逸らさずに声だけがこちらを捉える。

「その二人は?」

年は…さほど、僕と変わらない。
身長も同じく。
男とも女ともとれる顔立ちだったが、
すらりと長く伸ばした凹凸の無いその体だけが、
彼が男であることを物語っている。
彼の問いに、柔らかいソファに身を沈めながら僕は答える。

「娘の白薇と、秘書の、」
「奥平の秘書をしております、相田です。」
「あぁ…今社長なんだっけ、ユキ。
…御二方とも初めまして。
Qualita di attributivoオーナーの仲瀬です。」

人嫌いを思わせないその顔はうまく笑顔を作りながら、
横に座る秘書と、胸ポケットから脱した娘を見て口を開く。
思わず心が温かくなるような笑顔カップを差し出す彼は、
これでも異常なまでに人間が大嫌いで、
異常なまでに神姫を寵愛する男だ。
それを微塵も感じさせないその笑顔には、関心の一言に尽きる。

そのカップを受け取り、丁寧に礼を言う秘書に向かい、その男はこう言い放つ。

「普通に喋って良いよ。
ダイジョーブ。口悪いくらいじゃ俺機嫌損ねたりしねぇし。
他の話通じない馬鹿なオッサンじゃねぇんだからサ。」
「…!」

秘書が、驚きを隠せず思わず表情を固める。
娘すらも、目を見開いて笑顔の彼を見つめている。

…僕が秘書に教え込んだ、
社長秘書としての礼儀、言葉遣い。
完全に教え切って物にしたと思っていたそれ。
今までそれで、色々業務をこなしてきた彼の皮を、
あっさりと剥がしにかかった。

人嫌いだが観察眼が鋭い。
…いや、観察眼が鋭すぎるから人嫌い、が正しいのか。
そんな事は些細な違いでしかないが。

くつくつと、咥内で殺し切れなかった笑いを洩らし。
自らのカップを手に取りながら。

「俺みたいな人間は初めてなんだね。
空気が読めすぎるって、気持ち悪いだろ?」

そう述べた後、僕の真向かいに腰を落ち着ける。
「空気が読めすぎるとか、そんな問題じゃねェよ」
そう呟く秘書の言葉に僕は密かに同感した。

神姫用のカップと、それに揃えた小さな器にはこれまた神姫用の茶菓子。
…これも全て、彼のオリジナル。
それを娘に手渡す。
彼女はセツに差し出されたカップと茶菓子を受け取り。
余り他人に慣れない彼女には珍しく、
「ありがとう」と小さい声で囁き、それに口を付けた。
彼女は多少強情で、且つ人にはあまりなつかない傾向にあるのだが。
やはり女の子である。
甘いものには弱いらしい。
茶菓子を口に含むと、ほわっと顔を明るくして。

「ユウキっ、これ美味しい!」
「そっか、良かったね、白薇」

僕の笑顔に、彼女も華の様な笑顔を咲かせた。

その彼女を見る彼の顔は。
ここで初めての、心からの笑顔。
神姫には無償の愛情を持つ彼にとって、彼女の笑顔は何よりの至福なのだ。
彼は…世界中の全ての愛しい物を見る目で、娘に目を落としている。
時折、その白い髪をさらりと撫で上げると、
彼女も嬉しそうな表情を僅かに見せる。

「…まるで、白薔薇の姫だね。
純粋で強くて、でも強情で。」

そう呟いた彼の声は、僕だけが聞いていた。

































暫しの談笑後、
再度彼は、秘書と娘のカップにレモンティーを注いだ。
そして立ち上がり、

「あれを取りに来たんだよね?」

そう、僕に言う。
微かに、だけどしっかりと頷くと、
地下にある、と小さな声で伝えられる。
僕は2人に、ここで待っていてくれ、と伝え、
部屋から出ていこうとするセツを追い、応接間を後にした。
























3年と5ヶ月3時間23分12秒ぶりの再会。
でも僕等を覆う空気は何も変わらない。

「あの可愛子ちゃん、白魔型っしょ?」
「…知ってるの?白魔型」
「知ってるの?って…
俺に言う?言っちゃう系?
俺だって一応、夏希ちゃんから誘われた身だしー?
どんな事してんのかくらい調べるっての。
それに今の情報社会舐めちゃダメっしょ?
情報なんかそっこらじゅうから出てくンだから。」

そんな他愛も無い会話をしながら(元来こういう人間なのだ。人嫌いだけと。)
僕等が歩き着いた先は、店の奥。
そこからさらに階段を少し下った…地下。

入口よりも古びた、重々しい鉄の扉。
しかしそれは思ったより重くは無いのか、簡単に目の前の彼はその扉を開く。

…広くて、少し寒い、乱雑な機材置き場が右手。
左手には、整然と片付けられた、相反した綺麗な空間。
こ洒落た棚の上に―――それは、居た。






「綺麗っしょ?
俺の、自信作。」







そこに居たのは…白に軽くパールの入ったボディスーツに、
薄く銀の入れられた灰の髪。
伏せた睫毛の奥、
薄く開いた瞳は―――深いcrimson。





まるで―――そう。

血の様な、赤くて紅い、瞳。







「―――うん、綺麗だね。」


本心だった。
クリアなガラスの箱に入れられた彼女は、
そのガラスのせいかはたまたそうでないかはわからないが、
異様に美しく見えたものだった。

「これなら―――あいつも、喜ぶよ。」

もうすぐ、あいつが自分と過ごすようになって二年。
まだ神姫を連れていない彼への――最高のプレゼントになる。

そう思い、自然と顔が綻んだ。








































ガラスケースとその中に収まる神姫を綺麗な包装紙に包みこんでもらい、
料金を支払おうとすると、
「俺が個人的に手を入れた可愛い娘だから、可愛がってくれるなら料金はいらないって!」
と子供の様な笑顔を向けられた。
その笑顔を無下にする様な無粋な真似はしなかった。
(本体代はきっちり払ったけど。)

そしてその大きな包みを極力優しく
――彼女が居るのだから当然だが――
本当に優しく抱き上げる。

店の方へと戻ろうと前を歩く店主が脚を止め、
思い出したように振り向いた。

「ユキ、あれも持って行けよ。
俺ンとこじゃ使わないし。」
「あれ?」

なんだかわからない、というように首をかしげて見せると、
すっごい大きい溜息をつかれた。

「ユキが覚えてない訳ないっしょー?
大分前にお前が作ったあれだよあれ。」
そう言うと、奥から小さい箱を出してきた。
掌にすっぽり収まってしまう程度の小さい箱。
…中身は、もっと小さいものだ。
この中身を―――僕は知っている。

「うちでも別に使わないんだけど…」
「だからってここに置くなってーの。
引っ越す時とか忘れそうで大変なんだから。」

言うと、ぽすんとケースと抱えていない左手に握らせた。
その中身に懐かしさこそ感じたが…
しかし、本当に必要の無いものだった。
見なくたって解る。

大学にすら行っていない頃に暇つぶしに作ったもの。
あの時は世界最小と一部で騒がれこそしたが、所詮暇つぶしだ。
何の思い入れも、無い。






















ガラスケースを右手に、小箱を左手にして応接間へと戻ると、
待っていましたとでも言うように娘が明るい顔を向ける。
茶菓子はすっかり空になっていた。
余程美味しかったのだろう。
やっぱり女の子は甘いものが大好きだな。

「ユウキ、終わったの?」
「うん、待たせてごめんね。」

梱包されたガラスケースに秘書の目が行く。
すかさず彼は立ちあがり、僕へと手を差し出す。
…持つ、と言っているのだろう。

「大丈夫だよ。重くないから」
「…本当かよ」
「うん。」

普段の僕ならすぐに手渡すだろう。
例えそれが大事なものであっても、それを預けるくらいの信用はある。
故に当然ながら中身を聞かれたが、
後でのお楽しみだと言って隠し通した。
ここで明かしちゃつまらない。




店主に礼を言い、店の外へと出る。
辛気臭い店の中(って言っちゃ失礼だけど)と違って、
無駄に明るい空が広がる。
明るすぎて直視出来ないほどの外界は、どこか彼に似ていると思った。
本当は全く似ていないのに。


白いオープンカーまで戻った所で、
後ろから声。
…店主の…セツの声。

「ユキ、これやるよ」
そう言って渡されたものは…先程応接間で白薇がもらった、茶菓子。

「お姫様、気に入ってくれたみたいだからな。」
「あ、ありがとうございます!」

姫――胸ポケットの彼女は小さな包みを受け取り再び鮮やかな表情を彼に見せる。
神姫に無償の愛を注ぎ、観察眼が鋭すぎる彼は、
姫の為なら利益は問わない。
相手が例え、僕でも。

「またおいでね」

再び僕の胸ポケットに収まる白薇に笑顔でそう告げ、
優しく頭を撫で踵を返す。

お菓子を受け取って上機嫌の彼女。
娘の笑顔はとても可愛らしくて、気持ちが良い。




この笑顔を、これからも変わらずずっと。
何も変わらずにこうして見れていたら。
そう思ったのは、僕の中に多々ある記憶中でも特に色濃く覚えている。




next...



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Secre

幸せであるけれど

みていてニヨニヨしてしまう内容なのですが、この先の事件が分かっているだけあってせつない感じがいたします。
最後の幕引きとか、色々と。
ただ、とりあえずセツさんがHENTAIという事だと理解しました(ぇ
少なくとも局長が間違いなく勧誘するほどには(ぁ

ユウキさんの心情やら、最後の箱の中身やら、色々と気になる所でございますが。
それ以上に本来の白薇さんの姿と、現在の姿の違いと、その原因がまた気になる所でございますね。

No title

>東雲さまー。
事件はここからですね。幕引きがどうなるのかとか…
あまりまだ構想は出来ていませんが。。

そしてセっちゃんはHENTAIです。
この人も異常人です。異常万歳だ!!!

>本来の白薇
あまり本来らしさが出ていない気もしますけどねwwwあらら困った!!
デレ中なんですねわかりまs((
プロフィール

もに

Author:もに
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中身:もに。
(。←あっても無くても良いか)

趣向:
武装神姫
ドール(オビツ、MSD)
トリックスター-0-(MMORPG)
Figma
その他固定フィギュア
その他ゲーム色々。
最近はiPhoneで拡散性ミリオンアーサーというゲームをやっています。
--------------------------
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超勝手個人企画
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トリスタ自キャラ
トリスタ所属ギルド
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