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激昂、煙想-9-小さな灯

※連載SSの第二部9話目になります。


ツバサさんマジイケメン。


毎度恒例、白魔型考案者の東雲様のお宅より数名お借りしています。











いつだって。
貴方は私に優しくしてくれた。
傷ついたその体で、
傷付き果てた、その顔で。


本当の兄を知らない私にとっては、
貴方が兄だった。


離れたのは、私。


離れて行ったのは、貴方。



…裏切ったのは、私。














中庭に所狭しと咲き誇る薔薇。

あの出会いはまるであり得ない奇跡の青い薔薇だった。

そう言っていた、大好きな金髪を思い浮かべる。

暖かくて、本当の姉の様に接してくれる白を思い出す。
ちょっとだらしなくて、でも決める所ではびっしりと決める金光。
怒ると恐ろしいけど、神姫を見る目はいつも優しい。
そして―――いつも傍に居てくれる、白。




でも、でも私は…



何体もの、神姫を、此の手で。



覚えてない、なんて事で、その罪は…消えない。



どうして、私はなにも覚えていないの?



背筋を言いようも無い寒気が襲う。
自分が自分の事を覚えてない、
それが、これ程怖い事だとは思わなかった。




自身の身を包み込む様に、体の震えを収める。











「李狐」



その後ろ姿に声をかけたのは、相田ツバサ。
走りゆく彼女を悠々と歩いて、追いかける事は無く、
居そうな場所へ脚を向けた彼。
彼女が其処に居る事は解りきっていた。


「本当に、ここが好きだよな」


《Garden》の象徴、中庭に広がる庭園。
今の時期は堂々と咲き誇る薔薇の花達が光を浴びて輝いく様にすら見える。



その庭園の、真ん中。
少し小高くなった中央の花壇の中。
まるで隠れる様にそこだけが丸く窪んでいて。
丁度ドーナツの中心に収まる場所。
そこに置かれた小さい椅子。



「ユウキもよく来てたからな」
「……………」



李狐は答えない。
解っていてか、彼は勝手に。
窪みの中へ――一応降りる為に階段はあるがそれは使わずに――
ひょいと軽く飛び降りてきて、李狐の座る椅子の正面、の地べたへと座り込んだ。




「昔の事なんざ…良いだろうが。」




神姫を持たない彼の胸ポケットは煙草入れになっている。
そこから、真新しい煙草を1本、取り出して火を灯す。
まだ明るい陽の下、炎は吸い上げる空気に合わせて赤く照り、
唇を離すと同時に僅かな灰を落とす。



それを、焦点の定まらない、崩れそうになる瞳のまま、
彼女はただそれを見る。
見ているのか、見えていないのかは定かでない。
視線が其処へ向いているのだけは確かだ。
何を考えている、そんな事は読みとれないが。



…彼女は、人間で言う所の…
所謂、殺人を犯した、そう思っている…のだろう。



「…昔の事だろ」


そうツバサが口に出した、その瞬間。
李狐が目を剥き、叫んだ。









「アンタに何がわかんの!?わからないでしょ!?
何も覚えてない、この手が神姫を殺したの!!
えらそうに説教しに来たの!?
私の事なんかわからないくせに!!偉そうな事言わないでよ!!!」







およそ、小さな神姫が上げるとは思わない声で一気に叫び。
小さく荒い呼吸を繰り返す。



黙って聴いていた向かいの茶髪の男の、何かが切れる音が聞こえた気がした。



















ゴッ…

という鈍い音が響いたかと思うと、
庭の真ん中…

まるで隠れる様にそこだけが丸く窪んでいて。
丁度ドーナツの中心に収まる場所。

そのドーナツの丸の中の…地面に。
叩きつけられた拳。

紛れも無い、大きくてごつごつとした男の手。
…相田ツバサ、その彼の右腕。



「なにグチグチウジウジしてんだよ!!!
ウジ虫かテメェは!!!!
忘れてよーが忘れてなかろーが!!!!
気にしよーが気にしなかろーが!!!
ンなもんどうだって良いんだよ!!!!
どっちにしろ結局昔の事だろーが!!!!
過ぎた事グチグチ言って何が変わンだよ!!!!!」




額に血管が浮かびそうな程の勢いで。
それでも彼は続ける。





「殺したからなんだよ!!!
俺なんざ生まれた瞬間に母親殺して出てきてるっつの!!!
俺を庇ったダチも殺されてンだよ!!!」




それは嘆きの様で。

訴えの様で。

何とも言えない、叫び声。




「父親に世界で一番愛した女も殺されてる!!
俺と一緒になろうとしたせいで最愛の女死んでンだよ!!!
腹ン中の子供と一緒に!!!!
自分だけ色んなモン背負ってると思ってンじゃねぇ!!!!」





手の甲から血が滲む。
小さく震えている。

最愛を無くした悲しみ。



…李狐にとっては、
主人を亡くすも同然。



さらに、
日を浴びることさえ叶わなかった、幼い命。


最愛の…小さな灯。





「どんな人間だって誰かを踏み潰して生きてンだよ!!
自分の過去だろ!?目ェ背けんな!!
テメェの事をテメェで解ってやんねぇで、誰がテメェの事解るンだよ!」

「…ツバサ…っ」



耐えきれなかった。

願いなのか叫びなのか訴えなのか。

何もわからないその声に耐えきれなかった。

彼がそんな過去を持つ事など知ることも無かった。

彼は自分の事はあまり話さない。



自らのマスターであり、最大の主人であり、

無二の存在であろう彼は知っているだろう。

でも、彼はそんな事を例え自らの可愛い娘であっても明かす事は無い。

それは強いては、彼がそれを話す程心ない人間では無い事と。

何より本人が、話されるのを嫌っている事。







だから、知らなかった。
この、あくまでもこの、心の其処から変態に思えて、
身体の芯から変態だろうと思っていた、彼に、











そんな過去があろう事なんて。






…知らない間に、李狐はツバサへと駆け寄り、
その大きい腕にしがみ付いていた。
縋る様に、それでいてあやす様に。


壁を強く殴りつけた腕はそのまま。
ツバサはその李狐を見て安心感を露にした。





もう、大丈夫だ。


そして平然と言い放った。







「どうだよ、ちょっと惚れただろ?」
「本当真面目タイム持たないねあんた」

やっぱり変態に変わりは無かった。





next...






★余談★
最後は冗談っぽくなってうやむやになりそうになってますが、
ツバサの過去は事実です。

出来れば彼の過去話も書きたいですが、
単純にギャグで単純に暗い話になりそうな気もしているので
書くかは未定です。
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武装神姫
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その他ゲーム色々。
最近はiPhoneで拡散性ミリオンアーサーというゲームをやっています。
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